みなさん、お元気ですか? 『占いワールド』スタッフの卜部まいです。 今回は西洋占星術研究家・松村 潔先生のご登場です! 今まで「占いワールド」に登場していただいた芳垣先生やまつい先生など、数多くの占術家の先生に多大な影響を与え続けている、占い界の重鎮・松村 潔先生にお話を伺いに行きました。 松村先生が占星術やタロット・カードに出会ったきっかけから、リモートビューイング(遠隔透視)に至るまで、先生の素顔に迫るインタビューをお届けします。
家族の誰も占いに興味もなく、ごく普通の家に育ちました。まあ、私がオーディオ機器が好きなのは、技術者が多い家系だったからかもしれません。(*1) 占星術に興味を持ったのは、16歳の時、たまたま手にした小冊子に「月」の説明があって、それを読んだのがきっかけ。たしか鶴書房の本で12星座の各サインの説明が書いてありました。 その当時、「星占い」は、まだほとんど日本で普及してなかったので、占星術に関する本なんてものは無かったです。 だから、丸善(*2)で洋書を取り寄せて勉強するしかなかった。いや、こういう言い方をすると、ものすごく熱心だったみたいだけど、そんなに夢中になって勉強した自覚はないです。まあ、今でも占星術にどっぷりはまっているわけじゃないけど。 その後しばらくたって1970年に「an・an」、1973年に「non-no」で初めて「星占い」が登場し、その頃から急激に「星占い」が世間に氾濫してきました。 「占い」の需要が多いから、私の仕事の9割は「占い」の仕事。でも「占い」は趣味、副業というか、本業の意識が薄いです。あくまでも時代の流れの中で「占い」の需要が多かったから、たまたま趣味がメインの仕事になってしまった感じです。
20歳の時に、原宿の路上で突然タロット・カードの対面鑑定を始めたんです。なぜ原宿かというと、当時の原宿はヒッピー達が路上でアクセサリーを売っていて、路上が無法地帯でやりやすかったから。 あの人達は吉祥寺や西荻窪に住んでいて、なんだかホビット村(*3)みたいだった。穴あきジーンズをリヤカーで売っていた兄ちゃんがいたんだけど、なぜか成功して原宿にお店を出したりしてね、面白かったね。 ちょうど、手相の占い師に一緒にやろうと誘われて、じゃあタロットでもやろうかという流れで。 そのときの手相の占い師のところには、「原宿の母」が弟子として押しかけていました。 始めた当初、タロットは全く知らなかったから、解説書をしのばせながら鑑定していた。 なぜなら、当時はパソコンがなく、占星術だとホロスコープを作成するのにえらく時間がかかってしまうから。タロットなら一瞬でできるしね。1日2時間だけ路上で鑑定していたけど、当時は1件500円で月20人くらい鑑定していました。だから喋りすぎて本当に喉が痛かった。 なぜやっていたかというと…別に理由はないです。アルバイトという感覚も、別に儲けるつもりもなかった。まあ、興味があったからかな。今でも自分が「占い師」だという自覚はあまりないかもしれない。 ちなみに現在は、対面鑑定は基本的に断っています。「やりますよ」って言うと予約を埋められてしまって身動き出来なくなる、それは避けたいね。基本的に今は、昔からの固定のお客さんの対応だけにしています。 それから、「占い」の営業は今までしたことがないです。自分から働きかけるのは、性格的に合っていないしね。 基本的に、仕事は断らないので、仕事の量や内容で危ない時もあります。だから、きちんと考えないといけないんだけどね。
特定の先生について習ったことは一度もないです、ほとんど独学。 参考にしたのは主に外国の本。今と違って、当時は原書で読むしかなかった。英国占星術のカタい本とか、イギリスのマーガレット・ホーン(*4)の著書で勉強して、自分独自の解釈や色々な参考文献を織り交ぜていったから、この先生の影響が強いとかっていう偏りはないと思う。 占いの分野は派閥があるから、特定の先生につくと勝手がきかなくなります。東洋占術に比べ、西洋占術は基本的にそういった縛りはゆるいですけど。 それから東洋占術は、雑誌の原稿を書かないといけなかったので必要に迫られてしょうがなく。 主に相術(*5)が中心で、「今回のテーマは耳で」とかね。選択式の手相チャートの記事なんかも書いていたこともあった。当時のnon-no編集長の思いつきで、「東洋占術研究家」という肩書きをつけられたこともあったくらい。「セブンティーン」や、「エルフィン」からも東洋占術の原稿依頼があったので、集中して研究していた時期もあったけど、すぐに醒めた。
タロットは、ずっと昔からやっているし、その構造に興味を持ち続けている。歴史とかには興味はない、だって資料も不完全でしょう。背景ではなく、タロットを構造から読んでいこうとすると、いつまでも終わらない。そもそも、タロットは西洋が発祥だなんて思ってないです。シルクロードの時代に共有された「モノ」があって、たまたま残骸が西洋に残っていただけだと捉えている。 今、執筆している本は、タロットの新しい形式を盛り込んだ内容にして出版しようと思っています。私の方で8〜9割はすでに書き上げているけど、校正にかなり時間がかかりそうなので、来年の夏くらいの出版になるかな。かなり実践的な内容を中心に、大アルカナ22枚について解説する本になります。『数の原理で読むタロットカード』で書いたようなウンチクは少しだけ。ほとんど実践編です。 西洋占星術については、最近面白くないかなって思っている。理由は、光線を基準に、直線座標で考えますよね。太陽系の外の恒星も、直線座標で観るのは完璧に間違っています。全てを直線座標で読んでいくってことは、自分のものの見方で全宇宙を料理するようなもの。だから、どうしたって盲点が出てきてしまう、太陽系の中だけにした方がいいんじゃないのかな。 それより外側に対しては、全然違うやり方をしていかないといけない。今の占星術のパターンはこれくらいにしておいて、新しいことをやってみたいんだけど、そうするとぶっ飛びすぎてしまうし、特殊体系になってしまうからボチボチといったところかな。
以前から、あの場所には占い館があって興味を持っていました。占いブースとしては理想的な狭さだし。たまたま店舗が空いたので借りてみた。深い意図はないし、あまり先のことは考えてないです。 共産党ビルの真向かいにあるから、『第三の眼』というどぎつい名前にしてみた。 他にも理由はありますが。 まつい なつき氏が、最近鑑定を頑張っているようですね。これから他の人達もあそこでセミナーを開催するとか、色々計画があるみたいです。私としては必要経費と家賃さえ出れば、どんな形で使ってもらっても構わないと思っている。販売も面白いかもしれないね。私が、タロット鑑定するかも、とブログに書いたら、勝手に予約が入れられたりしたけど、まだ未定です。気が向いたらやるかもしれないけど。
最近はリモートビューイング(以降RVと略)(*6)。タロットから発展させていくと、RVが入ってくるんです。これはね、特殊能力を持つ人や霊能者にはかえって向かない。誰でも出来るし、練習はした方がいいのかもしれないけど、別にしなくてもできます。眼に見えないモノを見るという特殊能力が必要なんじゃなくて、むしろいかに、邪魔なノイズを取り除いていくかが大事だね。ゴミを片付ければクリアになって見えるという原理です。「虫の知らせ」とかと混同されるけど、まったく別物。「虫の知らせ」とかって受動的ですよね。RVは自発的に「カチッ」とスウィッチを入れるようなものです。タロットも元々はそういう原理で、「カード」という道具を使っているものだし、RVはイデオグラム(*7)を使うし。まあ、薄い幽体離脱みたいなものです。だから、余計な雑念、例えば、「宝くじで儲けよう」なんてニュアンスが入ると、確実にノイズになって見えなくなります。
RVは早い時期からニフティサーブの参加者と実験していました。ある人がドイツに旅行に行った時に、事前に「何時から何時まで行動してください」って指示を出して、RVしていたら、「三日月が見える」って意見が出た。後に検証したら、その時ドイツでバナナを買っていたという事例がありました。また私が、等々力渓谷に行ったときにRVした人が、草の匂いがする=代々木公園だと勘違いしたことがあって。「代々木公園」というキーワードが入った瞬間にノイズになったのだろうね。RVは瞑想とは全く関係はないし、連想イメージを除去するといった意味合いでは、そう「禅」のイメージと似ているかな。
書くのがいちばん好き。 どこにいてもできるし、時間も自由なので。 ふらふら歩き回りながら出来るじゃない。ノートパソコンさえあれば大丈夫だしね。
長時間の講座は慣れているから、あまり苦にはならない。しかし、あまりに疲れ過ぎると、逆にすごいテンションが上がってくる。私の講座に長く出ている生徒さんは「すごいハイテンションだから、疲れているな」ってわかるみたいです。逆に自分の趣味の話ばかりしていると、調子が良い証拠。他人から見たら多忙に見えるらしいけど、本人としてはスローライフのつもり、気分はノンビリしている。 健康法でもないけど、歩くことを意識しています。新宿駅まで行って、もどってくるとちょうど1万歩になるので、ちょうど良い運動になっている。
占い師は、相談者が依存するような言い方をしないことです。占いに来るお客さんは子どもと一緒だから、ハマらないようにしてあげないといけない。私はお客さんのチャートを見ると、研究材料みたいな感覚で鑑定を行っていくので、アプローチは普通の占い師と違うと思います。 タロット占いは「質問を聞くな、一枚目で落とせ!」です。言い当てられるとお客さんは勝手に何でも洗いざらい喋りますよ、結果的にね。
ハマって何度もくるようなお客さんは、私も気乗りしないので、すぐ鑑定を終わらせてしまう。 「占い」に行くのは1年に1回くらいで良いです。金額についても、有名人も一般人も、同じ金額にして30分で終わらせる。 価格を高くしたりすると深入りすることになり、そうすると会社に雇われたり、長期契約とか顧問とかにされてしまう。それじゃあJAF(*8)みたいになって、何かあったら駆けつけないといけなくなる。それは面倒だから避けたいですね。
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■ 松村先生の2011年1月期の新規講座は、
『 トランシット占星術 』 3/6(日)12:00〜17:40
※1 オーディオ 松村先生はオーディオマニアとして有名。
※2 丸善 東京都中央区日本橋3-9-2に本社を置く大手書店、出社、専門商社である。文化施設の建築・内装、図書館業務のアウトソーシング等も行い、幅広い業務を手がけている。
※3 ホビット村 J・R・R・トールキンの著作『ロード・オブ・ザ・リング』に登場する主人公のホビットが住む集落。
※4 マーガレット・ホーン 19C〜20C 英国の占星術師。英国の占星術研究会の創始者。
※5 相術 対象の姿・形から、その人の状態や運勢などを占う判断法。主なものとして、手相・人相・名相・姓名判断・風水・骨相・地相・墓相などがある。
※6 RV(リモートビューイング) 直前の視野に入らないものや視覚で確認できないものを、直感やイメージで正確に判別する能力。「遠隔透視」・「千里眼」とも呼ぶ。視野の範囲内で行われるものを通常「透視」、遠く離れた場所の映像を見るものを「リモートビューイング」という。
※7 イデオグラム 無意識レベルで受け取ったターゲットからの情報を紙の上に書きとめた、一筆書きの線。
※8 JAF 社団法人日本自動車連盟(JAPAN AUTOMOBILE FEDERATION)の略。自動車に関する様々な業務を取り扱い、またオーナードライバーの権益を保護する目的で設立された社団法人。故障した自動車(車両重量3,000kg以下)のけん引、キー閉じ込み、バッテリー上がりなどで、年間およそ300万件の出動実績がある。
より詳しい解説は用語集をご覧ください。