今回は、カリスマ風水師としてテレビでも有名な「黒門先生」が登場です。占いを始めたきっかけや、海外の占い事情、果てはオーラや画相の見方まで、黒門先生の魅力にたっぷり迫りました。 ■プロフィール■ 1958年生まれ。十代の頃中国占術と出会う。以来、奇門遁甲と風水を中心に四柱推命・紫微斗数・六壬神課等の様々な中国占術を、特定の流派に属さず、独自の立場で研究する。中国・韓国に渡り現地の占術家とも交流。中国河南省の劉廣斌老師、韓国の趙宰星先生等に師事。国際劉氏奇門遁甲発展応用中心研究員(中国)、韓国東洋術学会会員(韓国)。 著書に『活盤奇門遁甲精義』、『チベット占星術序説』等多数がある。
元々、子供の頃から格闘技をやっていて、たまたま本屋で空手の本を買ったら、その巻末に『占い教室』という本があったんです。その本を読んだのが、占いを知るきっかけでした。 それと、占いというよりも「奇門遁甲」に興味があったんです。小学生の時に『妖術武芸帳』というテレビ番組が流行っていて、『ぼくら』とか『冒険王』といった月刊誌の付録に『妖術大百科』というのが付いていたんです。それにはいろいろな妖術について書かれていて、その中に「八門遁甲」というのがあったんですけど、これが何だか分からなくてね。その後も古武術の本や、忍術の本、仙道の本を読んでいても度々出てくるので、「これはいったい何だろう?」と思ってしまって。得体が知れないけれど、逆に「これを知りたい」と思ったのがきっかけです。 だから「占い」というより、ほとんど「奇門遁甲」からスタートしているんです。他の占いは全部オマケのようなものです。それが途中から「風水」につながっていったんです。だから、未だに自分が「占い師」であるという自覚がないし、占いで当てることには興味がない。「この人が何歳で結婚するか?」ということにも、じつは興味が湧かなくて、「結婚したい人を、どうやったら結婚させられるか?」という方向に興味があるんです。病気でも「診療」と「診断」という二つが必ず一緒になければいけないんだけど、占いでも結局は、いかに優れた吉凶診断ができたとしても、それを開運させる技術がなければほとんど意味がないと思うんです。ただ、開運をさせるためには的確な吉凶診断が必要になってくるので、結局両方やることになるんだけど。
そもそも「門」というのは、中国では「流派」という意味があります。それと、よく白魔術と黒魔術とか言うけど、一般的に白魔術は良くて、黒魔術は邪道扱いされますよね。でも、どちらかと言うと「正統」って名乗る人間ほど、実際はインチキが多いんですよね(笑)。みんな「正統」って言いたがるんだけど、私は「正統」っていうのが嫌なので、逆に「邪道」という意味の名前を付けたんです。だから「黒門」っていうのは僕の流派の名前ということになります。日本的に言えば「黒流」です。最初にこの名前を使ったのが、あるポータルサイトに書き込みをしたときなんだけど、そのポータルサイトはハンドルネームを付けないと本名が出てしまうので、あわてて「黒門」と付けたら、いつのまにか流派名が名前になったというわけです。 それと、もうひとつこの名前には意味があって、たとえば真っ暗な中に「黒い門」があったとしても、その門は見えないでしょう? もしかしたら近くにあるかもしれないし、遥か先にあるかもわからない。でも、少し手を伸ばして探ってみると、意外と近くにあったりするものなんです。そしてその扉を開けると、その先から光が差し込んでくる。そういう意味での「黒門」でもあるんです。
「風水」が「静」で「奇門遁甲」が「動」ともいわれるのですが、この二つはまるで車の両輪のようなものです。 ただ、俗に「開運術」って言われるけど「風水」では単に「気」を整えているだけなんです。「風水」は本来、「気」が求めている状態と実際の状態とにズレがあると安定しないのですが、その乱れている「気」を安定するように整えていく占術なんです。人間の身体もそうで、「気」のバランスを整えると自動的に体の調子も良くなります。病気を治すというよりは、単にバランスを調整しているだけなのです。だから、劇的な変化がないこともあり、必ずしもクライアントの思う結果が出ないこともあります。ただ、それで結果的に売上が上がったり、結婚できたりします。 もっと分かりやすく言うと、元々その人が運勢上で「今年結婚しやすい」という結果が出たとします。でも、結婚する人もいれば、しない人もいる。同じ生年月日時だったとしても、○年○月にみんな結婚するとは限りませんよね。そういったバラツキが出てくるのは当然なのですが、そこに風水のような「術」が効果を発揮するんです。本来は今年結婚するはずなのに、なぜか上手くいかない人って、やっぱりいるんですよね。そういう人を「風水」や「奇門遁甲」で開運に導くと、上手くいったりします。 それと「奇門遁甲」は、「風水」が「気」を整えるのに対し、逆に「気」を乱す術といえます。たとえば、水面に石を落とすと波紋が広がっていくように、事件とか物事の変化というのは、本来は何もない状態のところに、何かが衝突を起こすことによって起きるんです。だから卜占(タロットや易など)が波紋を見る術なのに対して、奇門遁甲は波紋をワザと起こす占術といえます。「このタイミングでこの波紋を起こすと、それが良い方向に進む」と予想するのが「奇門遁甲」なのです。
チベットに興味を持ったきっかけは、チベット密教で、学生の頃、一番行きたい国だったんです。チベットは中国とインドの間に位置しているので、中国とインドの両方の「占い」が伝わっていて、それが1000年ぐらい経つ間にいろいろと変化しているんです。この変化がスゴく興味深いと思います。 チベット占星術の面白いところは、「個人の生年月日」だけではなく「母親の生年月日」も使うところにあります。個人の運命を判断するときに、中国や西洋の占いだと普通、「個人の生年月日」しか使わないでしょ。日本の九星気学でも、個人差を判断するときに自分の生まれ年に生まれ月を重ね合わせて見ていきますが、チベットの場合は、それだけではなく「母親の生年月日」も使うんです。だから、同じ年に生まれた人でも同じ運命にならないんです。結局、運命は母から子に受け継がれていくという、スピリチュアルな思想がチベットにはあるんだと思います。 またチベットでは、占いだけじゃなく、医学もすごく面白い。「アーユルヴェーダ」の考え方が入っているかと思えば、中国の「六経弁証(りっけいべんしょう)」という病気の進行の仕方が医学に取り入れられていたりして、まさにインドと中国の中間地点という特性を持っているんです。
それぐらい占いの浸透が日本と違う国もあるんですよね。ただね、どこまでホントかわからないけど一説によると、チベットでは医者に行く前に占い師のところに行って、「医者に行ったらどうか?」と占うらしい。それぐらい占い重視のようです。 またミャンマーの占いでは「生まれた曜日」を使うのですが、名前を聞いたら何曜日に生まれたのかを、一般の人でもみんな分かっちゃうんです。生まれた曜日で良い相性の音というのが決まっていて、それに基づいて名前を付けるからなんですよ。
韓国では、日本より占いが浸透していると思います。韓国で占いを語るときには必ず、李土亭(リ・ドテイ)という13世紀の人物の名が上がってくるのですが、彼が作った『土亭秘訣(どていひけつ)』という占いが特に有名です。韓国では新年になると、「今年の自分の運勢は?」と、2人に1人ぐらいの確率でその占いをするんです。それぐらい、韓国では占いの浸透が高いので、占いのレベルも当然高くなってきますね。 なぜレベルが高いのかというと、韓国で占いをする人達は、韓国の本以外に台湾や日本の本も勉強しているからなんです。日本の例えば阿部泰山さんの本などについて、韓国の文献にも出てくるんですよ。だから、韓国っていうのは、中国と日本と韓国の3つの国を勉強しているというイメージです。
日本の占い文化が遅れてしまったのは、明治時代に、明治維新以前の東洋文化を抹殺したからではないかと思うんです。あのときに日本では漢方や鍼灸の知識を全部捨ててしまったんですが、それから占いも後進国になってしまったのだと思います。だから、江戸時代まではそうでもなかったという気がするし。 でもね、易と人相だけは中国以上に優れているのではないかと思うので、優劣は付けられないです。日本の人相術に出てくる「気色線」や「画相」を見られる人って、中国でも数少ないと思いますよ。ただ、「画相」のレベルになると日本でもそんな見られる人はいないんですけどね(笑)。
「画相」というのは人相術の秘伝といわれる見方で、その人の顔の上に、その人と関係ある人の顔や未来に出会う人の顔が浮かび上がるとされるものです。 たぶんこの「画相」は、毎日ずっと見ていれば見られるようになると思います。僕も一時期練習していたときは、かなり見えるようになっていたんで。でも、やはりオーラを見る目線で見ないといけないから、オーラを見る練習から始めないといけないと思います。 でも、そのためには、まず「気」を感じられるようになるのが一番なんです。「目には見えない」と思っていると、もうその人には絶対に見えないですから、見る前に触る訓練をするんです。触れる感覚を掴むと、あるってことが分かるから見えるようになるんです。例を挙げると、熱いお湯って湯気がゆらゆら見えるでしょう。それと同じように、人間は37℃ぐらいの熱を持っています。だからよく目を離してみると、人間の持ってるエネルギーも同じように揺らいで見えるはずなんです。これって当たり前の話で、「見えるのが当たり前」と思うのが先決なんです。最初に、見えるのが特殊だと思うから見えないんです。
やっぱり「玄空派(げんくうは)風水」ですね。この流派はきりがないんで。「六大流派」以外に「玄空六法(げんくうろっぽう)」だけでも更にいっぱい分かれていて、これらはおおむね理解したんですが、更に、二十四山毎に星を飛泊させる門派があるんです。それが今、スゴく面白いです。それからコアな話になるんですけど、普通の玄空派っていうのは、将大鴻(しょうだいこう)以降になるんだけど、実は、無極子(むきょくし)は将大鴻だけではなくて、もう1人異なる人物にも真伝を授けたという話しがあるんですよ。だから同じ玄空でも将大鴻とは異なる伝承の玄空派というのが存在するんです。この違いを研究するのがまた楽しくてね(笑)。玄空派だけで何流派集めたか分からないです。 でもね、これらの情報にはロジックが一切書かれていないんです。「秘伝だから」という理由なのか分からないけど。だから、ジグソーパズルみたいに、いろいろな文献を集めてきて組み立てるしかない。ただ、どうやって鑑定したかっていう実例は残っているので、それらを付け合わせると、「このロジックを使っているな!」ということが暗号解読みたいに分かってくる。そのためには、継ぎはぎだらけの実例を、とにかく、かき集めるしかないんです。
やっぱり、好きじゃなきゃ駄目ですよね(笑)。寝る時間がもったいないぐらい好きになると、みんなもっと上達しますよ。勉強していると、「寝るのなんてもったいない!」と思いますから。 それと、難しいのかもしれないけど、「正しい目」を身につけることですかね。常識で考えれば分かることが、占いになると分からなくなる人が非常に多い。例えば、「凶方位だから停電が起こった」というわけではないのです。金運を上げるためには「人との出会い」が大切なのに、ずっと家にいたって上がるわけがない。そんな人が非常に多いので、そういう意味での「正しい目」を養う必要があると思います。占いを好む人達って、どこか神秘的になりすぎる傾向があります。まあ、そう言うと夢がなくなってしまうのかもしれないけど、本当は「自分がいろんな物事の原因を作り出している!」ということを理解してもらいたいですね。
■黒門先生の2011年1月期の新規講座はありません。 次回の開講をお楽しみに!