占星術研究家・翻訳家。国際基督教大学卒業、同大学院修士課程修了(比較文化)。 雑誌、テレビ、ラジオ、WEBなど幅広いメデイアで活躍。 特に占星術、占いに対しての心理学的アプローチを日本に紹介、 幅広い層から圧倒的な支持を受け、従来の「占い」のイメージを一新。 英国占星術協会英国職業占星術協会会員。日本トランスパーソナル学会理事。 平安女学院大学客員教授。『占星綺想』『魂のコード』『オルフェウスの卵』など多数の著訳書がある。 公式サイト: 鏡リュウジ公式サイト鏡リュウジ氏が案内する 「占星術の本場ロンドンで自分の未来を見つけにいく旅6日間」 催行決定!
それは「心理」占星術をどのように定義するかにもよりますね。占いの世界だけではなく19世紀の末から20世紀初頭に登場した 深層心理学的な心のモデルそのものが脳科学の発達などによってある種アナクロニズム的にも見えてきてしまうのはたしか。 しかし、「サイコロジー」の本来の意味は「サイキ」(魂)の学問。ギリシャ以来の人間観、人間論としてみるべきものはありますし 実は占星術はその伝統にしっかりと根付いているわけです。そうした視点に立つと少し以前にあった伝統的占星術と「心理」占星術 との緊張関係など本当は意味がないということがわかると思います。
ここ数年でスピリチュアル・ブームになった、などとは思えません。オウム事件でいったん下火になったものが、のど元を過ぎてまた出てきたということではないかと思います。オウム以前は精神世界、宗教学の世界では新霊性文化と呼ばれているものです。19世紀末のロマン主義的な運動、50年代からの公民権運動、フェミニズムなどの異議申し立て、70年代のカウンターカルチャー、さらに80年代になってからの消費文化と見事に結びついたニューエイジ…という流れのなかで見ています。ただ、主文化と周縁の文化との差がはっきりしなくなってきたなというのはかんじますね。
風当たりを現実的な意味で感じたことは特にありません。ただ、昔は「占いなんて恥ずかしい」とか、「いい加減止めなさいよ」と言われていたのが、最近は「怪しい仕事してます」と言うと、「ぜんぜん怪しくないじゃないですか!」と言われたり、「一種の学問ですよね」と言われることが多くなってしまって。そのことによる葛藤はありますね。本当は「怪しい」から意味があるのにと。
そうですね。占いの持っている「怖さ」とは、どこを指すのかといえば難しいですが、わかりやすいところでいうと、クライアントさんと会っている時には、異様な人間関係が発生すると思います。これはあらゆる援助職が持っている危険性だと思いますが、恋人にも言わないことを、占い師にいきなり言うとか。 占星術者やカウンセラーは投影を受けてしまうので、他の仕事では絶対に起こらないような関係性、精神分析でいう「転移」や「逆転移」(※1)が発生します。そうすると、占い師は全能感を喚起されるし、クライアントは依存心を喚起される。そんな異様な人間関係が発生することを、意識できているかどうかが大きいと思いますね。 もうひとつは、これは占い研究の方ですが、占いの思考法というのが、近代科学や現代社会を回している思考法とは違う、ということを理解していないと危険ですね。僕は「混ぜるな危険」とよくいっているのですが、そこを混同すると、現代社会の中で占い自体の地位を下げることになってしまうと思います。
あまりないですね。というのも、中学・高校の頃に「東洋のこともちゃんとやったほうがいいのかな?」と思ってチラッと本に目を通しましたが、秘伝っぽい感じがして「ムリ!」と思ってしまったからです。また、当時京都に住んでいたので、東洋占術で有名な京都書院の『阿部泰山全集』などがすごいボリュームで並んでいるのを見て、「もうムリだ…」と。それに比べて、西洋占術の本は少ししかなかったので、「これなら網羅できる!」と思ったのです。 また、五行(※2)の感覚がまったくわからないのです。(西洋占星術の)エレメント(※3)の感覚はよくわかるのです。 ただ、僕はもともと占い師になりたかったわけじゃなくて、魔法使いになりたかったんです。今で言うとハリー・ポッターのような魔術文化に興味があって、占いはその支流ですね。
占いで運命がわかることと運命を変えるということには、僕にとっては大きな差があるようには思えません。だいたい、運命が実態として存在するということをどのように証明するのでしょうか。 それよりも、「運命というものを、人はどうとらえているのだろうか」ということに興味があります。そんな「ありえない営み」をどのように読み取るかが、いちばんおもしろいテーマです。 それは人類学的な興味で、当たりもしない占いをなぜみんなやるのか、効きもしない開運法を人はなぜやり続けるのか、ということです。 もし本当に効くなら、ひとつの方法で十分ですよね。それなのに、ひとりの占い師でも、いろんな方法を試しながら、開運法を変えたりする。 それは「医学の発展と同じなのだ」という考え方もありますが、そういうことではないと思います。占いが医学と同じ発展をしているのであれば、統計によって証明可能なはずです。でも、実際、そういうことはひとつもない。ある時はバシッと当たるけれど、次もそれが有効かはわからない。近代人としてはそういうことを理解しているはずなのに、当たる体感を持ち、かつそれが実際に当たることもある。 人がそれをどのような形でやり続けるのかをどのように参与観察できるか、とうことにとても興味があります。
占うこともあります。今日もソーラーリターンチャートを作って、「MC(※4)に土星が乗ってるよ!」とか(笑)。ボイド(※5)はそれほど気にしないけれど、水星の逆行(※6)や新月(※7)直前は気にしますね。 今度マギー・ハイドさんと一緒にサイトを立ち上げるのですが、スタートが最悪な時間帯なのです。担当の方に「何時間かずらせませんか?」とお願いしたら「ダメです」と言うので、せめて自分のブログでのオープン告知時間をずらそうかと思っています。 ただ、僕はどこかで運が良いと思っているので、後から観るとぜったい良いチャートになっていると、どこかで思っていますね。いつまでどうなるかわかりませんが…。
やっぱり「月」じゃないかな。おひつじ座の「火星」と「月」がコンジャンクション(※8)です。インド占星術でいえば、チャンガラ・マンガラという配置のようです。気が短くてセッカチなので、早く結果が出ないとイヤなんですよね。
ルネッサンスのオカルト、田口先生の世界(※9)です。ルネッサンス占星術とルネッサンスのオカルティズムは現代の西洋占星術のルーツですよね。そういうことをアカデミックにいちばんやっているのは美術史家の方で、その研究が占星術のソースになっています。
そうですね。タロットはまさにルネッサンスですからね。 『タロット―こころの図像学』(※10)
ジェイムズ・ヒルマンの『魂のコード』(※11)。これは翻訳が大変でした。あと、マギー・ハイドの『ユングと占星術』(※12)。これはとても大事な本ですが、ほとんどの人が誤読しています。タイトルから心理占星術の本だと思われているのですが、これは心理占星術の本じゃなくて、リズ・グリーン(※13)批判の本なのです。僕も単純にサイコロジカル・アストロロジーをやっていると思われることがありますが、実はまったくそうじゃないんです。僕が翻訳している順番に読んで行くとわかると思います。
今後もよろしくお願いします!