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人相学とは、顔の形状から、その人の性質や運命を判断し、占う学問です。人相学とは、人の外形(顔や目、鼻、口などといった各部分の形、広くは身体も含む)から、内面(心、性格、行動)を読み取り、判断するもので、面相学、人相術、観相学などとも称されます。
東洋や日本の人相術は、顔を上・中・下の3つの部分にわけ、上部を上停、中部を中停、下部を下停とするのが一般的です。上停は幼・青年期の運勢、中停は中年の運勢、下停は晩年の運勢を見る部分とします。
これに対して、西洋の人相術では、各部分の変化を見ることはありません。丸型や卵型などの輪郭による区分や、骨相学的な頭蓋や額の形による判断が重要とされています。
その発祥は古く、今から四千五百年前、古代中国の史跡の中から人相の研究があったことが発見されています。二千年近く前に中国で著された『神相全篇』には、「相(形)があっての心ではなく、心が作ったものが相(形)である」と人相学の教えが記されています。周代に至ってからは、孔子の門人であった子羽という人物が、人相の心得があったことが孔子の言葉にも残っています。
また、インドでも太古から人相観が実践されていたようです。釈迦が誕生した時、アシダという人物がその相を観て、「この子は三十二面相を備えているから、後に大聖帝となるだろう」と予言したという記録があります。
一方、西洋では、哲学的思想から人間の形全体が占いとして研究され、人相の研究もその中に含まれていました。古代ギリシャの哲学者・アリストテレスは動物や植物と似ている人は、その動植物と似た性質を持つという「類型的発想」の人相学を唱えました。プラトンも、人間の顔を動物の顔と比較することで、個人の性格を説いたとされています。
しかし、中世はキリスト教会の権力が支配的な時代だったため、独自の立場から人間を研究し、未来を予言する人相術の研究者たちは、宗教裁判にかけられたり、迫害を受けたりすることも少なくありませんでした。
その後、近世に入ると、人相は再び脚光を浴びるようになりました。ドイツの医師・ガルは人相術を化学的に解明した「骨相学」を学問として完成させ、大反響を呼びました。また、イギリスの生物学者・ダーウィンは進化論の立場から人相を研究したことで、表情研究という新しいジャンルを開拓しました。これらの研究が、人相術の科学性を飛躍的に高めたのです。
日本の人相は中国の相法をもとにしており、漢字の伝来と同じ頃、つまり中国の漢代より伝えられ、発展してきました。
日本における人相術の歴史で有名なものは、江戸時代の中期に活躍した水野南北の観相術です。彼は現代日本の人相占いの元祖とされており、著書である『南北相法』は手相学の古典となっています。長年の学習と実践を通して、「どんな悪相であっても、食を制限すれば開運できる」と粗食の重要性を説き、慎みは福運を招くという独自の理論を打ち立てました。
現在の日本では、西洋式の手相が盛んに行われているのに対し、人相に関しては中国から伝えられた人相学のほうが盛んです。これは、現在の日本人のものの考え方が西洋的であるのに対し、顔つきや体系は東洋的であるということに起因しているのかもしれません。
特になし。
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